成人からの矯正治療とは
矯正治療は「10代以下~高校生まで」とお考えの方も多いと思います。確かに思春期と呼ばれる13~15歳頃までが一番成果を出しやすい時期です。しかし、20代以上、何歳であっても矯正治療を受けていただくことは十分できるのです。確かに、年齢を重ねたデメリットがないわけではありません。歯そのものが劣化している(いくつかの歯がなくなっているなど)、あごの骨が固まり痛みが強まる、唾液の量が減り矯正中に虫歯になる危険性が高まるなどが考えられます。しかし成人ならではのメリットもあります。自分自身で明らかな目的を持って治療ができる、経済的な心配が少ない、日頃の飲食に対し自分で調整できるなどです。
大人で矯正治療を受けるメリット・デメリット
- メリット1
- 男女を問わず、口元に自信が持てます
- 美しい歯並びだけでなく、きちんとした歯並びであれば、口をきちんと閉じることができます。その引き締まった口元は話す相手に好印象を与えます。
就職の面接や対人関係など、社会人には大きなメリットになるでしょう。
- メリット2
- きちんと噛めることは健康の支えです
- 年齢に関係なく、健康は何にも変え難いものです。
健康を支える「食」をスムーズにする要因は噛むことです。噛む力は歯の数だけでなく、歯並びも大きく関係しています。
また、あごが正しい位置にあること、噛む力のバランスが左右取れていることで肩こりなどの慢性疲労から開放される場合もあります。
- メリット3
- 審美としての矯正治療
- 40代以上になれば、加齢が顔などに現れてきます。
歯並びの美しさや、歯の隙間の有無が顔の表情には大きく影響してくるので、矯正治療はアンチエイジングにも有効です。
- デメリット1
- 抜歯を必要とする場合があります
- 大人の矯正では、歯を並べるためのスペースを確保する際に、子供の矯正のように顎の成長を利用することが出来ないため
抜歯によってスペースを確保しなければならないことが多くなります。
- デメリット2
- 予定の矯正期間より長くなる場合があります
- 矯正治療は、歯周組織の吸収や再生(骨の代謝機能)を利用して歯を動かす治療です。
大人は子供よりも代謝機能が低いため、歯を動かすのに必要な期間が予定よりも長くなる場合があります。
- デメリット3
- 子供の矯正(1次治療のみの場合)より費用がかかります
- 大人の矯正は子供の矯正(1次治療のみの場合)よりも治療内容が複雑になるため、治療費が高くなります。
大人の矯正治療期間
個人差はありますが、当院では装置の装着時期は2~3年をめどにしています。日常生活では多少の痛みや、装置によって食事がしにくくなる場合があります。治療が進むにつれ、装置の位置や歯を引っ張る力が変わっていきますので、不自由な時期や痛みを伴う時期がずっと続くようなことはあまりありません。
金属アレルギーの患者さまへ
金属アレルギーの疑いがある、ご自身でアレルギー体質であるとおわかりの方は、事前に専門医でパッチテストの受診をお願いしております。その症状をお聞きし、インビザラインなど非金属の装置を使用してできるだけ安全に行いますが、ときにはご希望に沿えない場合もあります。予めご了承ください。
歯科矯正用アンカースクリュー(矯正用インプラント)を用いた矯正歯科治療
インプラントを骨に埋め込んで固定することによって、このインプラントを固定軸として、歯を動かします。そのため通常の矯正治療では移動が難しい歯でも治療をすることが可能です。また通常よりも治療期間が短くなる場合があります。
メリット・デメリット
- メリット1
- 治療期間の短縮に期待できます
- インプラント矯正は、前後・上下・左右方向に動かしたい歯のみをピンポイントに動かすことができるほか
歯を動かしたくない部分に対しても動かさないようにすることもできます。
効率良く歯を動かすことができ、結果的に治療期間を短くすることも可能です。
- メリット2
- 抜歯をせずに治療できる場合もあります
- インプラントの固定源が顎の骨にあるため、これまでの矯正治療と比べて強い力で歯を動かすことができます。
それにより歯の移動距離を長くすることが可能となりました。
これまで歯を動かすスペースを確保するために行っていた抜歯を伴うことなく歯を並べられる可能性もあります。
- メリット3
- 大がかりな装置が不要になります
- これまで歯を動かすために使用していた顎外矯正器具(ヘッドギアなど)を使用せずに治療ができる場合があります。
また、装置自体が非常に目立つため、装置を付けるのは在宅中になります。
その点、インプラントアンカーは口の中にあるため目立たず、一日中矯正力が歯にかかるため効率的に歯を動かすことが可能です。
- デメリット1
- 不衛生な状態では感染を起こすこともあります
- 歯の表面や矯正装置の周りにプラーク(歯垢)が付着するように、矯正用インプラントの周りにも汚れが付着します。
プラーク(歯垢)が停滞していると、細菌の繁殖により歯茎の腫れや出血を伴うこともあります。
- デメリット2
- 治療中、矯正用インプラントがはずれる場合があります
- 個人差がありますが、歯茎の厚みや埋め入れる場所によっては矯正用インプラントが抜け落ちたり、ぐらついたりする場合があります。
その際は、埋め入れる場所を変えることで問題を回避できることもあります。
- デメリット3
- 高校生以降の方が対象です
- 原則的に顎の骨の成長が終わったとされる、高校生以降の方が対象です。
身体の成長が終了したかは、学校の身体測定の記録や、手の骨のレントゲン画像などをもとに判断されます。